横浜市金沢区 子育てインタビュー

8割以上が「子育てをしやすい街」と回答!横浜市金沢区で実践する「つながり」を作る子育て

金沢八景や金沢文庫など、歴史的な風景の残る街並みを残す金沢区には、昭和の高度経済成長期に造成された住宅街が広がっている。一方で、昨今は沿線に新しいマンションなども増えていることから、小さな赤ちゃんのいる子育て世代もたくさん住んでおり、行政も子育て支援政策に力を入れている。

今回は、金沢区で唯一の「地域子育て支援拠点」であり、子育て支援の総合窓口としての役割をもつ「とことこ」を訪ねて、金沢区の子育て支援担当の鎌田学さんと、「とことこ」施設長の安田みゆきさんにお話をうかがった。

地域子育て支援拠点「とことこ」にて
地域子育て支援拠点「とことこ」にて

地域のつながりの強い横浜市金沢区

――横浜市金沢区の子育て支援の取り組みについて、概要をお聞かせください。

鎌田さん:まず前提として、子育て支援に力を入れる理由について、これは金沢区に限らずですが、昔は兄弟が多く、自分が子どものときに弟や妹の面倒を見て、赤ちゃんの世話についてなんとなく分かっていました。ところが、昨今は一人っ子の家庭も増え、子どもの世話をする経験がないまま親になり、「どうすればいいのかわからない」という方が増えてきています。

昔はご近所さんや地域の人などに相談できましたが、今は「近くに気軽に相談できる人がいない」という方も非常に増えている。そういった方のために、全国的に「地域子育て支援拠点」が作られてきました。横浜市にも各区に1つ、拠点が置かれています。

――「とことこ」はそういった地域子育て支援拠点のひとつなのですね。金沢区ならではの子育ての特徴はありますか?

鎌田さん:金沢区ならではという点は、やはり、「つながり」でしょうか。

金沢区はご存知のとおり、古い歴史のある街で、横浜市の中では地域のつながりも比較的強いところです。実は、金沢区がこの拠点をつくる前から、地域の人々が「健やか子育て連絡会」という集まりを作っていて、養育者や地域の方々、関係機関、区役所が一緒になって、子育て支援のためにいろいろな取り組みをしていたんです。そこに新しく「とことこ」が加わった、というところが、この地区の特徴になります。

――「健やか子育て連絡会」について、もう少し詳しく教えていただけますか?

鎌田さん:「健やか子育て連絡会」では、皆で集まって会議もしますが、それよりももっと小さな単位、地区ごとに集まって、子育て支援に関わるいろいろな方が、「自分たちにできることってなんだろう」と話し合っています。

また、自分たちに求められていることの裏付けをとるために、養育者向けのアンケート調査を5年ごとに行い、その結果にもとづいて、「金沢区子育て支援の協働の指針」を作り、それに沿って地域が主体になって活動しています。

「とことこ」は京浜急行線「能見台」駅から徒歩5分
「とことこ」は京浜急行線「能見台」駅から徒歩5分

「とことこ」が地域への入口へ

――そういった環境の中に「とことこ」が生まれたということですが、「とことこ」の施設の内容と、使い方について教えてください。

安田さん:「とことこ」は原則「未就学のお子さんとその保護者」が「つどう」ための場所で、お子さんと保護者の方が自由に時間を過ごしていただく施設です。最近は子育ての孤立化や子育ての負担などがよく話題になっていますので、「とことこ」に来て、地域とのつながりを感じていただいて、安心して、楽しく子育てをしていただけるような手助けをできればいいな、と思って、日々運営をしています。最近は妊娠期からの支援もしていますので、妊婦さんとそのご家族の方、区外、市外の方でもご利用いただけます。

拠点の機能としては、私も、いちばん大切なことは、「つながり」を作ることだと思っています。ここには、地域にお住まいの、子育てを応援してくださるボランティアの方々がいますので、多世代の「つながり」や保護者の方同士の「つながり」もできますし、区内のいろいろな地区の「生の情報」を交換していただけると思います。

ですから、特に子育てに不安や孤独を感じている方は、ひとりで子育てを抱えこまずに、まずは、「とことこ」までいらしていただきたいな、と思っています。

鎌田さん:この「とことこ」以外にも金沢区ではいろんな子育て支援事業を行っており、そういった情報もすべて、ここに来れば知っていただくことができる、という場所ですね。

地域の子育て情報が集まっている
地域の子育て情報が集まっている

――「とことこ」の施設の特徴や見どころを教えてください。

安田さん:木をふんだんに使い、赤ちゃん専用のコーナーを壁で仕切らずに、ひとつの大きなスペースになっているのが特徴です。他のお子さんの様子を見ながら、子どもの成長の見通しがイメージできると思います。駅から近いことと、目の前の「イトーヨーカドー」のお買い物のついでにも寄りやすい、という点も特徴です。

施設内は木がふんだんに使われ、フロアを見渡せる造り
施設内は木がふんだんに使われ、フロアを見渡せる造り

アンケートから生の情報をまとめた「キラキラMAP」

――子育て世帯に配布している「キラキラMAP」について教えてください。

鎌田さん:これは私達を含め、先ほどの「健やか子育て連絡会」のメンバーが中心になって作っている冊子で、「いま、養育者の方に必要な情報ってなんだろう」ということを、生の情報として、まとめた1冊になっています。実際にアンケートをとって、人気があった公園を上位から掲載したり、口コミのコメントを載せたりと、保護者の方の声がたくさん紹介されている、という点が特徴だと思います。

赤ちゃんと一緒に入れるお店の情報、イベントの情報、保育園や幼稚園の情報など、非常に細かい情報を網羅していますので、金沢区の子育てに関わるあらゆる情報が、この1冊でわかるようになっているかと思います。区役所のホームページからPDFとしても見ていただけますので、是非、活用してみてください。

「健やか子育て連絡会」が中心となり、「キラキラMAP」など子育てに役立つ情報を発信している
「健やか子育て連絡会」が中心となり、「キラキラMAP」など子育てに役立つ情報を発信している

「横浜子育てパートナー」と「横浜子育てサポートシステム」

――「とことこ」で提供している機能のひとつに、「利用者支援事業」というものがあるそうですね。詳しく教えてください。

安田さん:「利用者支援事業」は3年前から始まった、比較的新しい事業です。横浜市では各拠点にひとりずつ、専任職員である「横浜子育てパートナー」が配置されました。「横浜子育てパートナー」は相談を受けた際に、相談者に寄り添いながら内容を整理し、一緒に考えて、必要な情報をお渡ししたり、必要な機関に紹介したりしています。相談の総合窓口のようなものです。

――「横浜子育てサポートシステム」もこちらを通して利用できるそうですね。詳しく教えてください。

安田さん:「横浜子育てサポートシステム」というのは、地域ぐるみでの子育て支援を目指す、横浜市の制度です。「利用したい方」と「サポートできる方(提供会員)」にそれぞれ会員になっていただいて提供しているもので、サポートする側に報酬を支払う、有償の制度になります。その金沢区の事務局を「とことこ」が担っていまして、安心して利用していただけるように、両者を結びつけるコーディネートをしています。

具体的には、生後57日から小学校6年生まで使えるという制度で、基本的には「預かり」という利用になります。一番多いのは送迎の利用ですね。たとえば、残業でどうしても遅くなる日に、提供会員の方にかわりに送迎に行ってもらって、そのままおうちで待っていてもらったり、学童にお迎えに行って、そこから習い事先まで送ってもらう、といった利用が多いです。7割くらいが送迎の利用で、あとの3割は預かりです。

こちらの会員数に関しては、現時点で、「利用会員」さんが442名、「提供会員」さんがちょうど100名となっています。依頼があった時には、丁寧に依頼内容を聞くことを大切に、コーディネートを進めています。

――このサポートシステムを利用するメリットは何ですか?

安田さん:利用にあたって「理由を問わない」という点は大きなメリットだと思います。お母さんのリフレッシュのためなどにも、気軽にも使っていただきたいです。そこで知り合えた方同士でつながることもありますし、「地域に自分のことを助けてくれる人がいる」と思うことだけでも、お母さん方の安心感につながっているのかな、と思います。

子育て世帯と地域の「つながり」を作るための支援を行う
子育て世帯と地域の「つながり」を作るための支援を行う

応援してくれる人がいるから、「子育て」をプラスに考えられる

――最後に、金沢区の魅力と、子育て環境の素晴らしさのアピールをお願いします!

鎌田さん:金沢区は海があり山があり風光明媚で横浜市でも自然が多彩なところです。また、動物園や水族館、海水浴場などのレジャー施設や2つの大学があって、名所・旧跡など歴史的・文化的遺産も多く、バラエティ豊かな街です。

「とことこ」をはじめてとして、子育てサロンなどの親子の居場所も充実しており、地域の皆さんも子育て支援に熱心に取り組んでくれています。アンケートの中でも、8割以上の方が「子育てをしやすい街」と解答してくださっていますし、行政としても、子育て支援の取り組みをますます充実させていくつもりですので、ぜひ、金沢区にお住まいになっていただければと思います。

安田さん:金沢区には私達以外にも、子育てを応援してくださる方がすごく沢山いらっしゃいます。「孤立」とか「負担」とか、子育てに対してマイナスのイメージを持っている方もいらっしゃると思うんですが、金沢区は、これをプラスに変えてくれる区だと思っています。

私自身も、子育ての時期にこういった施設や、地域の皆さんに沢山助けていただいたので、今度は自分が返す番だと思って、頑張ってやらせていただいています。

キラキラMAP内の「とことこ」ご紹介ページ(横浜市金沢区HPより引用)
キラキラMAP内の「とことこ」ご紹介ページ(横浜市金沢区HPより引用)


横浜市インタビュー
横浜市インタビュー

■今回お話を聞いた方

横浜市金沢福祉保健センター こども家庭支援課 課長 鎌田学さん(右)
横浜市金沢区地域子育て支援拠点「とことこ」 施設長 安田みゆきさん(左)
■横浜市金沢区地域子育て支援拠点「とことこ」
URL:http://www.tokotoko-kanazawa.jp/
■横浜市金沢区子育て情報冊子 キラキラMAP
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/kanazawa/kurashi/kosodate_kyoiku/kosodateshien/2019kirakiramap.html
※この情報は2019(令和元)年11月時点のものです。