住いの性能を見極めるポイント「耐震構造と耐震等級」

住宅を買うときにだれもが気になるのが地震の問題でしょう。その住宅がどの程度地震に強いのかを判断するには、耐震構造や耐震等級について知っておくことが有効です。

●昭和56年6月に今の耐震基準が整備された

日本は地震大国なので、過去に何度も大きな地震に見舞われ、住宅をはじめとした建物に大きな被害をもたらしました。そのたびに建築基準法の耐震基準が見直され、段々と地震への強さが増していったのです。現行の耐震基準は昭和56年6月に大幅改正されたもので、「新耐震基準」と呼ばれてそれ以前と区別されています。

したがって、昭和56年6月以降に建築確認が申請された住宅であれば、新耐震基準を満たしているはずなので、「耐震構造」であると言えます。この耐震構造というのは、震度6強や7程度の地震が起きても建物が崩れたり倒れたりせず、中にいる人の命が守られることを目指した構造のことです。実際、平成7年に起きた阪神大震災では、新耐震基準の建物はそれ以前のものにくらべて被害が小さかったといわれています。

●耐震構造では建物が揺れるのを防げない

ただ、耐震構造は柱や梁、壁を頑丈につくって地震に「耐える」建物にする発想なので、建物自身が揺れることは防げません。その結果、室内の家具が倒れて中の人がケガをしたり、壁に大きなひびが入ってしまう可能性はあるのです。

さらに水道やガスなどのライフラインが損傷し、そのままでは通常の暮らしができず、避難所暮らしを余儀なくされることも考えられます。マンションの場合は修繕や建て替えに住民(区分所有者)の合意を取り付けなければならず、復旧に時間がかかるケースがあることは、阪神大震災の際にも大きな問題とされました。

●建物の揺れを抑える免震と制震

これに対し、地震による揺れそのものを軽減しようという構造が「免震構造」や「制震構造」です。免震構造とは、地盤と建物との間に免震装置を設置し、地震の揺れが建物に伝わりにくくする構造のこと。免震装置はゴムと鋼板を交互に重ねた「積層ゴム」と呼ばれる材料を用いたものが一般的です。免震構造は15階建て程度までの中低層の建物で効果が高いとされ、地震の揺れを1/3~1/5に低減できると言われています。最近では超高層マンション用の免震装置も性能が向上し、揺れを1/2~1/3に軽減できるようになっています。

また、制震構造は地震の揺れを建物内部の制震装置で瞬時に制御する構造のことです。制震装置にはダンパーや重り、粘りのある特殊な材料などが使われます。制震構造は免震構造に比べて地震の揺れを軽減する効果は小さくなりますが、強風による揺れも軽減できることから、超高層マンションなどで採用されるケースが見られます。

免震構造、制震構造とも地震による建物の損傷を軽減できるメリットがありますが、普及が進んでいないのはコストの問題があるためです。大規模マンションでは1戸当たりのコストアップを抑えられますが、それでも通常の耐震構造に比べて数百万円はアップするといいます。とはいえ、大地震による被害を抑えられるのですから、長い目で見ればトクだと言えるかもしれません。

●耐震等級が高いと保険やローンがオトクに

なお、耐震構造にもランクがあり、例えば住宅性能表示制度では耐震等級を1~3に区分しています。等級1は建築基準法レベルとなり、等級2は地震に対する強さが等級1の1.25倍、等級3は1.5倍とされています。ランクが上がるほど大地震のときの損傷は軽くなると考えられますが、やはりコストアップは避けられません。

ただし、耐震等級が高いとトクすることもあります。地震保険の保険料が等級1は10%、等級2は20%、等級3は30%と割引になるのです。また、耐震等級が2以上だと固定金利型住宅ローン「フラット35」の金利優遇が受けられる場合もあります。免震構造や制震構造ではない住宅を買うときには、その建物の耐震性能はどの程度なのか、聞いてみるといいでしょう。